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「売主・買主・仲介(媒介)」とは【詳しすぎる不動産用語解説】

ナツダ
どうも、元住宅営業のナツダです。

「実家を売りたい」「中古マンションを買ってリノベしたい」そんなとき一番よく目にする不動産用語が「売主買主仲介」ではないでしょうか?

この3つの意味、ちゃんと知ってますか?三者の関係がどうなってるか、わかりますか?

ナツダ
「売主」と「買主」はわかっても「仲介」はイマイチ説明できない方が多いのではないでしょうか。

じつは、不動産売買では「仲介」が絶対必要というわけではありません。そのへんも含め、今回は「売主・買主・仲介」の意味と関係を説明しますね。

では、さっそく解説していきます。

「売主・買主・仲介(媒介)」の意味

ではさっそく「売主・買主・仲介」の意味三者の関係について解説していきます。

売主の意味

不動産売買で「売主」といえば、不動産物件を売る人売りたい人のこと。まれに「売り手」という言い方をすることもあります。

売主は個人ばかりではなく、法人(会社)の場合もあります。

売主の例

  • 個人
  • パワービルダー
  • 不動産開発業者(ディベロッパー)
  • 不動産会社(宅地建物取引業者)

上述の「売主」は、新築を売るのか中古を売るのかで分けることができます。

たとえば「個人」なら、自分が住んでた中古住宅の売主になります。「パワービルダー」や「不動産開発業者」は、主に新築住宅の売主になります。

「パワービルダーってなに?」という方は、以下の記事を参考にしてください。

さて先述の売主の中で「不動産会社」だけ新築と中古、両方の売主になることがあります。しかも「仲介」を使わず、自社で「買主」と直接取引までやってしまいます。

ナツダ
不動産会社、いわゆる不動産屋は「仲介業者」とか「宅地建物取引業者(略して宅建業者)」と呼ばれることもあります。

なお、売主が直接販売までやる不動産を「売主物件」といいます。売主物件は仲介業者をはさまないので、買主は仲介手数料を払わなくてすみます。

ポイント

売主が課税業者(課税期間の売上高が1,000万円を超える不動産会社)の物件を買う場合、建物部分の代金に消費税がかかります。土地部分は、消費税がかかりません。
 
宅地建物取引業者が売主の場合は、個人買主を保護するためクーリングオフ制度の対象になったり手付金の保全義務も発生します。
 
個人が売主の場合は、建物部分の消費税もクーリングオフも手付金保全義務も対象外です。

不動産会社が売主になるケースについて、もう少し詳しく説明しますね。

不動産屋が売主となって扱う物件には、新築と中古の両方があります。それぞれ、別々に解説します。

不動産会社が新築住宅の売主になる例

地主さんが不動産を売りたいときに、一般の買い手がつかないケースがあります。なぜなら土地が大きすぎたり、そのせいで高すぎたりするからです。

そういうケースでは不動産屋が相場より安く買い取って、分筆します。

分筆とは?
登記上、ひとつの土地だったものを複数にわけること。土地を分けることで、一般の買主が買いやすくなる。

分筆したあと、それぞれの土地に建売住宅(分譲住宅)を建てて販売します。このケースの新築は「売主物件」になるので、買主は仲介手数料不要です。

いっぽう効率を重視するパワービルダーや不動産開発業者は、販売のことはすべて不動産会社に任せてしまい自社はとにかく建てることに集中します。

こちらのケースでは買主は不動産屋を介して買うことになるので、必ず仲介手数料が発生します。

不動産会社が中古住宅の売主になる例

不動産会社が中古住宅を売る場合「買取 ⇒ リフォーム ⇒ 再販」という流れになります。このケースの「買取」も、相場より安く仕入れます。

では、なぜ不動産会社は相場より安く買えるのでしょうか?

じつは物件所有者(売主)が売り急いでるから、不動産会社は安く買えるのです。たとえばこんな理由で、売主は安くても手放してしまいます。

  • 早く現金化したい
  • 早く引っ越したい
  • 売れなくて困ってる

相続税を払う場合や借金の返済にあてたい場合、早く現金化したいですよね。こういうケースでは「安くても早く売ってしまいたい」気持ちになります。

転勤などで遠方に引っ越す場合も、売り急ぐことがあります。不動産売買のために何度も戻ってくるのは、大変ですから。

長期間売れ残ってる物件も、市場での売却活動をあきらめ買取に回されるケースがあります。

買主の意味

つづいて、買主の説明をしますね。

不動産売買で「買主」といえば、不動産物件を買う人買いたい人のこと。まれに「買い手」という言い方をすることもあります。

不動産売買で買主がやることは、おおざっぱに言うと次のとおり。

  1. 購入申し込み
  2. 売主と売買契約
  3. 住宅ローン申し込み
  4. 別件代金の清算
  5. 所有権移転登記

不動産を買うときは、まず買いたい物件の売主に購入申込書を出すところから始まります。「購入申込書」には、以下のことを記入します。

購入申込書の記載内容の例

  • 購入希望額
  • 手付金の希望額
  • 売買契約希望日
  • 引き渡し希望日
  • 住宅ローン利用の有無

上述のとおり、ほとんど「希望」を書きます。この内容をもとに、売主と買主が不動産会社を介して交渉します。

ナツダ
とはいえ何を書いてもいいわけではなく、買主の都合ばかり書くと売主から売却を断られます。

なお、手付金は売買価格の5%~10%程度が相場です。売主の合意が得られるなら、それ以下でもOKです。

ポイント

不動産売買契約で払う手付金は「解約手付」と呼ばれます。
 
不動産売買契約は、相手方が契約による義務を履行する前なら契約を解除できます。ただし買主が解除すると手付金放棄、売主が解除すると手付金を倍返しする必要があります。

あまりにも低い手付金額は解約のハードルが下がるので、嫌がる売主もいます。

仲介(媒介)の意味

つづいて、仲介の意味を解説します。

不動産売買で「仲介」といえば、売主と買主の間を仲立ちして契約成立をフォローすること。「仲介」をおこなう業者を仲介業者といい、不動産屋などが仲介業者にあたります。

ナツダ
不動産売買では、媒介(ばいかい)という言葉もよく使われます。媒介と仲介は、ほぼ同じ意味です。

さて「契約成立をフォロー」とは、いったいどんなことをするのでしょう。

売主と買主にわけて、いくつかフォローの例をあげてみましょう。

売主へのフォローの例

  • 売出価格のアドバイスをする
  • インターネットや広告を使って買主を探す
  • 買主から値段交渉が入った場合の対応

買主へのフォローの例

  • 買主の要望に合った物件を探す
  • 売主に対して値段交渉をする
  • 物件の重要事項説明をする

不動産会社は、これら仲介業務の報酬として仲介手数料を受け取ります。

なお、仲介をはさまず個人同士で売買すると仲介手数料がかかりません。その代わり、不動産会社がやってくれる業務をすべて自分でやることになります。

個人売買については、こちらで詳しく解説しています。
気になる方は、参考にどうぞ。

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ちなみに、売主または買主が不動産会社に仲介を依頼するときは契約を結びます。この契約は「仲介契約」ではなく「媒介契約」といいます。

媒介契約は、以下の3つのタイプがあります。

  1. 一般媒介契約
  2. 専任媒介契約
  3. 専属専任媒介契約

それぞれ特徴があり、メリットとデメリットがあります。

買主は専任を選ぶメリットがなく、一般媒介契約を選ぶのが一般的です。売主は物件によって合う合わないがあるので、どの契約にするかちゃんと選びましょう。

媒介契約の種類については、こちらの記事で詳しく解説しています。
もっと知りたい方は、参考にどうぞ。

中古物件を売買するときの「売主・買主・仲介」の関係

ここまで「売主・買主・仲介」それぞれの意味を説明してきました。
さて、三者の関係がどうなってるかイメージできましたか?

じつは、仲介をはさむ不動産売買のスタイルは2種類あります。
中古物件の売買を例に、詳しく解説しますね。

仲介をはさむ不動産売買のスタイル

  1. 両手仲介
  2. 片手仲介

まずは、それぞれの意味から解説しますね。

両手仲介とは?
1社の仲介業者が、売主と買主の両方をフォローするスタイル。この場合は双方から仲介手数料を得ることができるため、仲介業者としてはオイシイ仲介になる。
片手仲介とは?
売主と買主、それぞれに別々の仲介業者がフォローするスタイル。買主側の不動産屋は買主から、売主側の不動産屋は売主から仲介手数料をもらう。

両手仲介と片手仲介を図解にすると、こんな感じです。

片手仲介と両手仲介の違い1

一般的には売主は高く売りたいし、買主は安く買いたいと考えます。売主と買主の利害は真逆なので、両手仲介の不動産会社には中立的な立場が求められます。

しかし実際には、買主の意向を優先して売主に値下げさせる不動産屋もいます。なぜなら、その方が手っ取り早く売買が成立するからです。

いっぽう、片手仲介であれば売主側と買主側それぞれ依頼者の思いを最優先にしてくれます。売主の売却希望額が適正であれば、その価格で売れるようにフォローしてくれるのです。

片手仲介と両手仲介の違い2

繰り返しますが、不動産の仲介では片手より両手の方が倍儲かることになります。だから、どの不動産会社もできれば両手仲介をしたいと思っています。

もちろん、何の作為もなく両手仲介になったのなら問題ありません。

しかし、悪質な不動産屋は自分が儲けるために売主の利益を損ねてでも両手仲介を狙ってくるのです。

ナツダ
不動産業界には、無理やり両手仲介に持ち込む「囲い込み」という技があります。専任や専属専任媒介では、囲い込まれないよう注意が必要です。

「囲い込み」については、こちらで詳しく解説しています。予防したい方は、ぜひご一読ください。

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不動産売買は仲介なし(売主と買主の個人売買)でもできる

不動産は、仲介を入れず個人どうしで取引することもできます。ただし、事業的な売買と区別するために宅地建物取引業法でいくつか規制をもうけています。

たとえば以下の取引なら、宅地建物取引主任者の資格を持たない個人どうしでも売買できます。

個人売買できるケース

  • 1回だけ売買する
  • いつも同じ人と売買する

つまり、裏を返せば以下の取引は個人売買できないということです。

個人売買できないケース

  • 反復売買する
  • 不特定多数の人と売買する
ナツダ
もし取引が「個人どうしの取引」と認められなくなると、事業所得税や消費税の納税義務が発生します。

個人売買のメリットとデメリットについても、説明しておきますね。

個人売買のメリット

まずは、メリットから。個人売買には、2つの大きなメリットがあります。

個人売買のメリット

  1. 仲介手数料がかからない
  2. 重要事項説明を省略することができる

個人売買最大のメリットは、なんといっても仲介手数料がかからないこと。不動産売買の諸費用はほぼ仲介手数料が占めるので、かなりの節約になります。

ちなみに仲介業者に払う仲介手数料は「売買金額の3%+6万円(税別)」が目安です。たとえば1,000万円で個人売買すると、40万円近い節約になります。

不動産売却の諸費用については、こちらで詳しく解説してます。もっと知りたいかたは、参考にどうぞ。

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個人売買では、重要事項説明を省略することも可能です。

ただし買主が住宅ローンを使う場合は、ローン審査で重要事項説明書が必要になります。ですから、売主も重要事項説明をする必要が出てきます。

個人売買のデメリット

つづいて、デメリットについて解説します。個人売買には、以下のデメリットがあります。

個人売買のデメリット

  1. 自分で売却査定する必要がある
  2. 買主を自分でみつける必要がある
  3. 不動産売買に必要な書類を自分で準備する必要がある
  4. トラブルがあったら全部自分で解決しないといけない

仲介業者を入れず個人売買する場合は、仲介業者の業務を全部自分でやることになります。

まずは適正な売出価格を決め、買主を自力で探します。売買契約書や、場合によっては重要事項説明書も自分で作ります。

まんがいちトラブルが発生したら、自分で解決しないといけません。

ナツダ
比較的トラブルが少ないマンションならまだしも、トラブルが多い一戸建ての取引では仲介を入れる方が安心です。

なお、個人売買についてはこちらの記事で詳しく解説しています。個人売買も視野に入れてる方は、ぜひご一読ください。

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不動産用語を調べる方法

不動産売買は難易度が高く、専門知識も必要です。ですが、何度も体験できることではなく、みんな経験不足の状態で取り組んでます。

この経験不足を補うには、勉強が必要。自分が不利にならないためにも、今回の「仲介」レベルの用語は知っておいた方がいいでしょう。

そこで、最後に不動産用語の勉強方法をご紹介して終わりたいと思います。

勉強方法

不動産用語のおもな勉強法を3つご紹介しまます。ぜひ、以下の方法を試してみてください。

不動産用語の勉強方法

  1. 不動産屋などの専門家に聞く
  2. ネットで調べる
  3. 用語集を使う

不動産用語について学びたいのであれば、不動産屋に聞くのが一番カンタン。打合せなんかで意味が分からない用語が出るたびに「それ、どういう意味?」って聞けばOKです。

ナツダ
不動産屋に行く前に勉強したい方は、セミナーがオススメです。たいてい最後に質問を受け付ける時間があるので、聞きやすい環境です。

インターネットも便利です。「○○とは」のように、用語のうしろに「とは」を付けて検索してみてください。すぐに用語の意味を検索できますよ。

不動産用語を解説してるコンテンツもあります。けっこう役に立つので、いくつかご紹介しておきますね。

インターネットの不動産用語集

最後にオススメするのが、用語集を買う方法です。用語集を買うなら書籍だけではなく、スマホの有料アプリも便利です。

書籍であれば、Amazonの「キンドル アンリミテッド」がイチオシです。なんと、月額980円でアンリミテッド対象書籍が読み放題。

ちなみに、初回30日間は無料体験ができます。約1か月間、不動産売却関連の書籍を読みあさってから退会することも可能です。

アプリなら「Limen Inc.」が配信している「宅建用語集」というものもあります。国家試験である「宅建」対策用のスタディアプリで、図を交えた解説でとてもわかりやすいです。

このように、学ぶ方法は身近なところにたくさんあります。それぞれをうまく活用し、不動産売買にお役立てください。

まとめ

不動産売買における「売主」とは、不動産物件を売る人(売りたい人)のことです。「買主」とは、不動産物件を買う人(買いたい人)のことです。

この両者の不動産売買をフォローするのが「仲介」で、不動産屋などの仲介業者が担当します。なお、仲介なしで売主と買主が個人売買することも可能です。

仲介を入れるメリットは大きいですが、囲い込みなどの弊害もあります。しっかり三者(売主・買主・仲介)の関係を理解して、不動産売買にのぞみましょう。

ナツダ
少しでも希望にあった不動産売買ができることを、願っています。

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