どうも、ナツダです。
今回は、不動産の個人売買について解説してみたいと思います。
- もくじ
- ・不動産個人売買の流れ
- ・不動産個人売買で消費税はかかる?
- ・不動産個人売買のメリットとデメリット
それでは、さっそくいってみましょう。
不動産個人売買の流れ
さて、あなたの不動産を知人が「買う!」と申し出てくれることがあるかもしれません。そんなとき、個人間で取引しても問題ないのでしょうか?
結論から言うと、法律的(宅建業法)には「不特定多数の人と売買」や「反復売買」しなければ問題ありません。つまり「いつも同じ人と売買」や「1回だけの売買」であればOKということです。
では、個人と不動産屋の仲介なしに不動産売買するときは、いったいどんな流れで進めていけばいいのでしょうか?
詳しく調べてみたので、以下に順を追って説明していきます。
1、物件の査定と権利関係を確認しておく
まず、不動産をいくらで売るのか決めることから始めます。そのためには、相場や市場動向をきっちり把握しておくことが必要です。
相場については、いくつか調べ方があります。
法務局で土地と建物それぞれの「登記事項証明書(登記簿謄本)」も取っておき、ちゃんと不動産の権利があなたになっているか確認しておきましょう。
2、図面や資料を準備しておく
購入希望者が現れたら、内見(実際に物件を見に来る)の対応をすることになります。そのとき必要になる書類や、契約のときに必要になる書類を準備しておきます。
用途 | もらえる場所 | 必要書類 |
---|---|---|
内見 | 既得物 | ・建築図面 |
契約書類作成 | 法務局 |
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市役所 |
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水道局 ガス会社営業所 |
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土木事務所 または市役所 |
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引き渡し | 既得物 |
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役場 |
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古い物件では、土地の測量図がない場合があります。隣家との境界があいまいだとトラブルの元になります。契約前に境界を確定して測量しておくことをおすすめします。
境界の確定(専門的には「筆界確認」といいます)や測量は、土地家屋調査士に依頼します。
3、買主を探す
まだ買主が決まっていないようなら、買主を探しましょう。と、カンタンに書きましたが、これが個人売買の大きな難関のひとつです。
個人でもできる買主の探し方は、たとえば以下のようなものがあります。
- 買主を探す方法
- ・ご近所や知人づてに買い手がいないか探す
- ・個人でも登録できる不動産情報サイトに載せる
- ・チラシを作ってポスティングする
不動産は、意外とお隣が買ってくれるというケースも少なくありません。ご近所に声掛けしたり、知人に買ってくれそうな人がいたら紹介してもらえるようにお願いしておきましょう。
個人でも登録できる不動産情報サイトには、以下のようなものがあります。
おうちダイレクトはYAHOO!不動産とソニー不動産が一緒にやっているサービスです。いまのところマンションのみで、地域も限定されています。
4、内見に立ち会い値段交渉に対応する
購入希望者が現れたら内見(物件を実際に見てもらう)してもらいます。いろいろ質問されると思うので、回答してあげましょう。
購入希望者が物件を気に入ってくれたら購入申し込みがきます。場合によっては値引き交渉があるので、話し合いで売買価格と引き渡し日を決定します。
5、売買契約書を作成
売買価格や引き渡しの日程が決まったら、契約書を作成していきます。
ネットで「不動産売買契約書 ひな形」と検索すれば、たくさん見本が出てきます。できるだけシッカリしたものを選び、空いている項目を埋めていきます。
- 契約書に記載される項目の例
- ・売主と買主の氏名や住所
- ・物件情報(面積、所在地、価格など)
- ・手付金や清算金の取り決め
- ・引き渡し日
- ・所有権移転登記に関する取り決め(時期、費用負担など)
- ・契約解除や解約金についての取り決め
- ・住宅ローン特約(買主のローン審査が通らなければ白紙)
- ・瑕疵(かし)担保責任に関する取り決め
- ・固定資産税の清算に関する取り決め
瑕疵(かし)担保責任の取り決めは、とても重要です。
- 瑕疵(かし)担保責任とは?
- 住宅はとても複雑な製品なので、住んでみて初めて気が付く問題もあります。こういう問題を隠れた瑕疵と呼び、見つかった場合に売主が改善する義務を「瑕疵担保責任」といいます。
- しかし、売主も不動産のプロではないので、瑕疵に気づかず買主に申告できないこともあります。そこで、個人売買では契約書に「責任は引き渡しから3か月以内」とか「一切負わない」と書くことができます。
契約事項は、しっかり売主から了承を得ておきましょう。
個人間の不動産売買では重要事項説明書は必要ないとされていますが、作成しておく方がトラブルになりにくいでしょう。
- 重要事項説明とは?
- 物件の権利関係、都市計画法や建築基準法上の制限、状態や今後の見込み、契約の条件などを説明します。買主は重要事項の説明を受け、買うか買わないか判断します。
不都合を隠しても、発覚したときに売主の責任を問われます。「聞いた聞いてない」の水かけ論にならないためにも、重要事項説明書を作成して承認を得ておきましょう。
6、契約して手付金をもらう
万事整ったら、契約です。まず重要事項の説明をおこない、特に問題なければ契約へと進みます。
契約書は2冊作られ、売主と買主双方が保管します。
ちなみに、契約書は自署の横に押印するだけでは足りません。「割印・契印・消印」と呼ばれるものも必要なので、ネットで押し方を確認しておくといいです。
参考 割印 契印 捨印 訂正印 消印
不動産屋に仲介してもらう不動産売買では、契約と同時に売買金額の5%~10%にあたる「手付金」をもらうのが一般的です。
- 不動産売買の手付金とは?
- 不動産売買の手付金は、解約手付になります。つまり、買主都合で解約する場合は、手付金を放棄して売買契約を解除できるのです。売主都合の場合は、手付金を返してさらに手付金と同額を支払うことで解約できます。
- 手付金は預かり金ですので、売買代金の支払い時に返還します。しかし、それは面倒なので、契約書に「手付金は、残代金支払いのときに売買代金の一部として充当する」と書くのが一般的です。
個人売買の場合、必ずしも手付金をもらう必要はありませんが、契約の重みを考えるともらっておく方が安心できます。もらう場合は、契約書に手付金の金額を明記しておきます。
なお、契約は売主と買主合意のもと選んだ司法書士に立ち会ってもらった方が安心です。後日、代金の清算が済んだら登記もしてもらうことになります。
7、代金清算と引き渡しをおこなう
契約書で決めた引き渡し日になったら、売買代金の清算をおこないます。手付金をもらっている場合は、それを差し引いた金額を振り込んでもらいます。
入金が確認できたらカギを渡し、物件の所有権を買主に移転させて引き渡し完了です。
もし、あなたに住宅ローンが残っていたら、次のことを全て同日に行います。
- 1、買主から売買代金をもらう
- 2、もらった売買代金を使って住宅ローンを完済する
- 3、ローンを貸していた銀行が抵当権の抹消を許可する
- 4、売主が司法書士に抵当権抹消登記を依頼
- 5、買主が司法書士に所有権移転登記を依頼
- 6、司法書士が法務局で登記手続き
- 7、引き渡し
図にすると、こんな感じです。
引き渡し後は、契約書に定めた範囲で瑕疵担保責任を果たしていきます。
不動産個人売買で消費税はかかる?
さて、あなたが個人に不動産を売却するとき、消費税ももらわにといけないのでしょうか?
結論から言うと、不動産の個人売買では消費税はかかりません。
まず、土地は消費税がかかりません。これは、消費税法で決められています。
消費税法第六条
国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。別表第一の一
土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
建物も個人売買では消費税がかかりません。(もしあなたが不動産業者なら、消費税をもらわないといけません)
不動産個人売買のメリットとデメリット
まず、家を個人売買するときのメリットとデメリットを確認しておきましょう。
不動産個人売買のメリット
- ・仲介手数料を払わなくて済むので諸費用を大幅カットできる
- ・個人どうしの不動産取引では消費税がかからない
- ・重要事項の説明や瑕疵担保責任をなしにできる
不動産個人売買のデメリット
- ・買主は自分で見つける必要があるので販促も自分でやらないといけない
- ・不動産売買するのに必要な書類をすべて自分で作成する必要がある
- ・トラブルがあったら全て自分で対処しないといけない
家を個人売買するときの一番のメリットは、何といっても諸費用を抑えられるということに尽きると思います。不動産屋に支払う仲介手数料は高額なので、それがなくなるのは大きいメリットです。
その反対に、不動産屋がやってくれることを全て自分でやらないといけなくなるのがデメリットになります。
では「不動産屋がやってくれること」とは、どんなものがあるのでしょうか?
たとえば、こんなことを自分で解決する必要があります。
- ・隣地との境界線がどこかわからない
- ・建物が現行の建築基準法や民法上問題ないかわからない
- ・土地はどのように登記されているかわからない
- ・建物はどのように登記されているかわからない
- ・抵当権がちゃんと抹消されているかわからない
- ・前面道路の取り扱い(公道?私道?)がどうなっているかわからない
- ・ガス管や水道管がどのように埋設されているかわからない
- ・買主が建替える場合どのような法規的しばりがあるかわからない
不動産を個人で売買するときは、まず上記のような問題を自分で解決する覚悟を決めてから取り組みましょう。安易に始めると、精根尽きますよ。
まとめ
不動産屋に仲介してもらわずに、個人どうしが不動産売買をすることは可能です。
不動産を個人売買すると、仲介手数料がかからないので諸費用を大幅カットできます。諸費用のほとんどは仲介手数料ですからね。
しかし「不動産屋に仲介してもらわない」ということは、不動産屋がやる仕事を全部自分でやるということです。
不動産売買でいろいろな問題が発生することは事実なので、あとで買主とトラブルにならないためにしっかり対処しておきましょう。