不動産を売りたい人が必ず気にするのが、仲介手数料です。さて仲介手数料ってなんなのか、正しく理解できてますか?
じつは、一般的な不動産売買の諸費用で圧倒的な割合を占めるのが仲介手数料です。そして、仲介手数料はゼロにする方法もあるんです。
この記事で仲介手数料の意味と計算方法、節約方法について解説するので参考にしてください。
では、さっそく解説していきますね。
仲介手数料とは?
さっそく仲介手数料の概要から解説していきますね。
仲介手数料の意味
まずは、仲介手数料の意味から。
仲介手数料とは、売主または買主が仲介を依頼した不動産屋に払う手数料のことです。
売主と買主、双方同じ不動産屋を使う両手仲介と、別々の不動産屋を使う片手仲介があります。
「不動産屋にとっては、両手仲介がおいしい」ということを頭の片すみに置いておきましょう。手数料収入が倍になります。
ちなみに「囲い込み」などの意図的な両手仲介が問題となっていて、海外では禁止しているところもあります。
- 囲い込みとは?
- 売主から売却依頼を受けた物件を自社で抱え込み、他社からの照会を断る行為のこと。
- 両手仲介を狙うために他社からの「購入希望者がいるので情報ください」という照会を断り、自社で買主を探そうとする不動産屋がいる。
さて、つづいて仲介手数料の主な特徴について解説します。
仲介手数料の主な特徴
- 上限金額が決められてる
- 売買が成立したときに払う成功報酬型
- 仲介または代理による売買のみ発生
まず、仲介手数料は「宅地建物取引業法 第46条」で定められた上限額があります。上限以下なら、自由に設定できます。
それから、売買が成立したときに払う成功報酬型になってます。売買が成立しなければ、どれだけ経費がかかっても仲介手数料はゼロ円です。
ただし、以下のような例外もあります。
- 手付解除
- 売主または買主の債務不履行
- 一般的な仲介業務を超える範囲
手付解除とは、いったん売買契約が成立したのに売主または買主が契約を解除すること。手付解除は、不動産屋に手数料請求権が発生します。
ポイント
売主または買主が不動産屋との契約に定めたことを守らなかった場合も、要注意。違約金を請求されるケースがあります。
また一般的な仲介業務を超える販売活動を依頼した場合も、実費で請求されます。たとえば遠方への旅費や、敷地の測量費などが考えられます。
なお、不動産屋は事務所ごとに報酬額を提示する義務があります。
これは「宅地建物取引業法 第46条4項」で規定されてます。引用しておきますね。
宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
不動産屋に行ったら、確認しておきましょう。
仲介手数料(上限額)の計算方法
仲介手数料の上限額は、宅地建物取引業法によって規定されてます。
ちなみに、以下のリンク先で規定の原文が見られます。
仲介手数料の計算式は、売買金額(税別)によって変わります。
仲介手数料の計算式
家を売る金額 | 簡易計算式 |
---|---|
200万円以下 | 取引金額 × 5% + 消費税 |
200万円超~400万円以下 | 取引金額 × 4% + 2万円 + 消費税 |
400万円超 | 取引金額 × 3% + 6万円 + 消費税 |
参考に、500万円きざみで試算してみましょう。
家を売る金額 | 仲介手数料 |
---|---|
1000万円 | 36万円+消費税 |
1500万円 | 51万円+消費税 |
2000万円 | 66万円+消費税 |
2500万円 | 81万円+消費税 |
3000万円 | 96万円+消費税 |
3500万円 | 111万円+消費税 |
4000万円 | 126万円+消費税 |
4500万円 | 141万円+消費税 |
5000万円 | 156万円+消費税 |
表のとおり、仲介手数料はかなり高額になります。一般的な不動産売買では、諸費用の大半を占めます。
仲介手数料は、税抜きの売買代金が計算の基礎になることに留意してください。
なお、土地の売買は消費税がかかりません。売主が(課税業者ではない)個人の場合は、古家にも消費税がかかりません。
さて空き家を売る人に覚えておいて欲しいことが、ひとつあります。
不動産売買の仲介手数料に「空家等の売買又は交換の媒介における特例」というのがあります。
この特例では「売買代金が400万円未満の低廉な空家などの仲介手数料」の上限が規定されてます。
- 空家等の売買又は交換の媒介における特例とは?
- 400万円未満の空家の仲介手数料は「18万円+消費税」を上限とする特例。先述の計算式は使わなくてよい。
- この特例は買主のみに用いられ、買主の仲介手数料には適用されない。(18万円は「現地調査費」名目なので、買主には関係ない)
現在空き家が増え続けていて、国も問題視してます。ですが、空き家の売却は不動産屋にメリットがなく、なかなか流通が進んでません。
空き家仲介のデメリット
- 田舎にある物件が多く、高く売れない
- 遠方の空き家を仲介するケースもある
- 仲介すると現地調査費用がかさみ赤字になるケースも
不動産仲介は「売買金額が高いほど難易度が高い」というわけではありません。むしろ、売買金額が低い物件の方がややこしいこともあります。
つまり「難易度高い+報酬低い=不動産屋の意欲が下がる」ということ。不動産屋としては、売買金額が高い物件を扱う方が合理的なのです。
そこで「どんなに売買代金が安くても、18万円までなら仲介手数料請求していい」と規定したのが、この特例です。
仲介手数料を支払うタイミング
さて、仲介手数料はいつ支払えばいいのでしょうか。
そもそも不動産屋に仲介手数料の請求権が発生するタイミングは、売買契約が成立したときです。なので、売買契約以降ならいつでも支払いOKということ。
とはいえ売買契約から引き渡しまでタイムラグがあるので、2回に分けて支払うのが望ましいです。
仲介手数料の支払いタイミング
- 1回目 ⇒ 売買契約のとき50%
- 2回目 ⇒ 引き渡しのとき50%
実際のところ、不動産屋からの請求もこのケースが多いです。
仲介手数料を節約する方法
つづいて、仲介手数料の節約方法について解説します。
仲介手数料を節約する方法は、3つあります。
仲介手数料の節約方法
- 売主と買主が直接取引する(仲介を使わない)
- 値引き交渉する
- 仲介手数料の値引きをうたっている不動産屋を探す
それぞれ、もう少し詳しく解説していきましょう。
売主と買主が直接取引する(仲介を使わない)
そもそも不動産屋に仲介を依頼しなければ、仲介手数料は不要です。つまり、売主と買主が直接取引するのです。
ただ、この方法にはデメリットがあります。
仲介を使わないデメリット
- 不動産屋がやる作業を全部自分でやる必要がある
- 専門家の知識や経験に基づくアドバイスが受けられない
- 売買でトラブルが起こったときに自分で解決する必要がある
専門知識を持たない素人が不動産屋の業務を全て自分でやるなんて、簡単なことじゃありません。
買主が見つからなかったり、売買でトラブルが起こるリスクもあります。
値引き交渉する
法律で決められてる仲介手数料は、上限額だけです。なので、値引き交渉の余地はあります。
値引き交渉するときは、不動産屋と媒介契約をむすぶ前にしましょう。一度契約した仲介手数料額を反故にするのは、NGです。
たとえば、以下のようなことを交渉材料にすると成功しやすいかもしれません。
- 専任媒介契約にするから少し下げて欲しい
- 自分でも買主を探すから少し下げて欲しい
②で交渉するときは、自己で買主を見つけた場合でも仲介を挟む約束をしましょう。勝手に買主を見つけてきて取引するような売主を、不動産屋は面倒みてくれません。
仲介手数料の値引きをうたっている不動産屋を探す
「仲介なしでやるのは怖いし、値引き交渉するのも嫌」という方。「仲介手数料値引きします」とうたっている不動産屋を探してみてください。
たとえば、ホームページや新聞折込チラシにこんな文言を見つけたらチャンスです。
- 仲介手数料半額
- 買主は無料
じつは仲介手数料を無料、もしくは半額にしてくれる不動産屋があります。
たとえば、買主が不動産業者や買取業者の場合は売主の仲介手数料を無料にしたり、一般人どうしの売買で両手仲介になると半額になる場合があります。
この方法だと、不動産屋は常に一般的な取引の半分しか仲介手数料が入りません。その分、利益が減るということです。
不動産屋が減った利益をどう補っているかというと、不動産屋いわく、たとえば以下のようなコストダウンをしているそうです。
不動産屋のコストダウン策
- 非効率なチラシをやめ、ネットで集客する
- 店舗を持たず、運営経費を削減する
- 業務を少数精鋭でおこない人件費を削減する
たしかに、チラシを作ってまくと大きな費用がかかります。それをネット済ませられるなら、相当なコストダウンですよね。
仲介手数料が安くなった分、売却価格も低くなるようならあまり意味がありません。手数料が安い不動産屋を選ぶよりは、優秀な不動産屋を選ぶことを優先したいところです。
仲介手数料以外に不動産屋から請求されるもの
不動産屋が売主や買主に請求できるのは仲介手数料のみですが、例外的に請求できるものがあります。
不動産屋が仲介手数料以外に請求するための要件は、以下のとおりです。
- 仲介依頼者の依頼に基づいて発生した費用
- 通常の仲介業務では発生しない費用
- 実費
では「通常の仲介業務」から外れる業務とはどんなものか、具体的に説明しますね。
「通常の仲介業務」とは?
まず、不動産屋の「通常の仲介業務」から。
たとえば不動産屋が売主から依頼を受けたときは、以下のような仕事をします。
不動産屋の仲介業務
- ・物件調査と査定書の作成
- ・登記事項、公図、測量図の確認
- ・前面道路、下水、ガス、都市計画、法規制を調査
- ・物件の問題点や疑問点を洗い出し調査
- ・DM作成やチラシ作成
- ・チラシをポスティング
- ・自社ホームページや不動産情報サイトに掲載、修正、削除
- ・顧客に紹介
- ・問い合わせが入ったら物件資料を送る
- ・メール対応
- ・購入希望者が現れたら内見の調整
- ・売主や買主側の不動産屋と打ち合わせ
- ・銀行との打ち合わせ
- ・司法書士との打ち合わせ
- ・知り合いの不動産業者に物件情報を連絡
- ・買主からの価格交渉の調整
- ・重要事項説明の作成
- ・契約書の作成
- ・不動産売買契約の立ち合い
では上述の業務をふまえて「通常の仲介業務」から外れる費用の例をあげてみましょう。
「通常の仲介業務」費用から外れる例
- ・依頼者の希望による特別な販売活動の費用
- ・遠方の買主に会いに行く旅費交通費
- ・測量が必要な場合の測量費や図面作製費用
- ・古家を解体する場合の解体費用
- ・隣家との境界確定(筆界特定)に必要な費用
上述のことを売主が不動産屋に依頼すると、全部実費で請求されます。
不動産売買前に諸費用の予算組みをしておく
不動産売買で必要な諸費用は、仲介手数料だけではありません。他の諸費用項目や、目安金額を知っておきましょう。
主な諸費用項目は以下のとおりです。
不動産売買で必要な諸費用
- 仲介手数料
- 登記費用
- 司法書士報酬
- 住宅ローンの清算費
- 不動産売買契約書に貼る印紙代
諸費用や目安金額については、以下の記事で詳しく解説してます。もっと知りたい方は、参考にどうぞ。
-
不動産の売却にかかる諸費用と手数料の目安はどれぐらい?
どうも、ナツダです。 今回は、不動産売却にかかる諸費用の目安について説明してみたいと思います。 もくじ ・不動産売却では ...
まとめ
不動産売買にかかる仲介手数料とは、売主または買主が仲介を依頼した不動産屋に払う手数料のことです。
仲介手数料は成功報酬型で、国交省により上限金額も定められています。
仲介手数料はいくつか節約方法があり、一番カンタンなのが値引き交渉です。媒介契約前に、値引きできないか相談してみましょう。
仲介を使わない方法もあります。売主と買主が直接取引すれば、仲介手数料は不要です。
ですが不動産売買はとても面倒で、売買相手と大きなトラブルになることもあります。できれば仲介をオススメします。