どうも、ナツダです。
今回は、不動産売却にともなう税金のことを解説します。
- もくじ
- ・不動産を売却して損失が出る場合は税の申告は不要?
- ・不動産売却の譲渡所得を計算する方法
- ・家を売るときにかかる税金の税率
- ・譲渡損失は申告すると所得控除が受けられ節税になる?
では、さっそくいってみましょう!
不動産を売却して損失が出る場合は税の申告は不要?
家を売ると大金が入ってくるので「住宅ローンを完済しないといけないのに、いくらぐらい税金を取られるんだろう?」って不安になりますよね。私は夜も眠れず、ネットで調べ倒しました。
結論から言うと、家を売って儲かった人以外はあまり税金のことを心配しなくても大丈夫です。
具体的には譲渡所得と言うのを算出して、そこに課税率をかけることで税額が決まります。譲渡所得は家の売却額から購入額などを引けますので、ほとんどの人はマイナスになるのではないでしょうか。
譲渡所得がマイナスであれば「課税されない」ということですね。
そして、課税されないのであれば、税法上は申告不要ということになるのです!
ちなみに「税法上は」と前置きしたのは、損失でも申告しておくことで所得控除を受けられる場合があるからです。
不動産売却の譲渡所得を計算する方法
家を売ったときに利益(=譲渡所得)が出た人は税金を払うことになります。譲渡所得は以下の式で計算できます。
- ・譲渡所得 = ① 売却価格 -{(② 取得費用) + (③ 譲渡費用)}- (④ 特別控除額)
最近の家が、買った時より高く売れるなんてほぼありません。今より相当地価が低いときに買ったとか、相続で受け継いだとか、そういう場合を除いて譲渡所得税のことはあまり気にしなくていいでしょう。
自分で譲渡所得を試算してみたい人のために、上の計算式に出てくる項目をもう少し詳しく解説しますね。
家の「① 売却価格」とは?
文字通り「家が売れた価格」ですが、固定資産税の清算分も含めます。
家や土地の固定資産税は1月1日時点の所有者が1年分まとめて支払うので、売却して所有者が変わったときは未経過分を日割り計算して買主からもらうことが一般的です。
- ・売却価格 = 家を売った値段 + 固定資産税の清算分
家の「② 取得費用」とは?
家と土地を取得したときにかかった費用です。登記費用や仲介手数料なども含めることができます。
- 取得費に含められるもの
- ・土地や建物の購入代金、建築代金
- ・土地の造成費用、地盤改良費用
- ・土地の測量費
- ・入居前に行ったリフォーム費用
- ・不動産屋さんの仲介手数料
- ・登記にかかった費用
- ・ローン保証料
- ・不動産取得税
いろいろなものを取得費用に含めることができますが、金額を領収書や契約書などで証明できないと認めてもらえません。
ちなみに、家が古すぎて取得費が分からない場合は、売った金額の5%を取得費とすることができます。
参考 国税庁「取得費となるもの」
取得費用にはひとつ注意点があり、建物部分は年々価値が下がるので減価償却費相当額というのを差し引かないといけません。
どういうことかと言うと、2,000万円で買った家は年々価値が下がっているはずなので、もし2,000万円で売れるとそれは利益が出たことになるのです。
減価償却費相当額は以下の式で求めることができます。
- ・減価償却費相当額 = 建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
償却率は建物の構造によって違い、以下のとおりです。
- ・木造の償却率 ⇒ 0.031
- ・軽量鉄骨造の償却率 ⇒ 0.025
- ・鉄筋コンクリート(RC)造の償却率 ⇒ 0.015
家の「③ 譲渡費用」とは?
家と土地を売るのにかかった費用です。所得費用と同じく、いろいろなものを含めることができます。
- 譲渡費用に含められるもの
- ・不動産屋さんの仲介手数料
- ・建物を壊した場合の解体費用、建物損失額
- ・測量費
- ・印紙税
- ・立ち退きを要した場合の立退料
譲渡費用も領収書や契約書で金額を証明する必要があります。しっかり残しておきましょう。
譲渡所得税の「④ 特別控除額」とは?
譲渡所得は特別控除の特例により3,000万円まで無税になります。ただし、この特例には要件があります。たとえば「別荘などのように主として趣味、娯楽又は保養のために所有する家屋」や「親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売った」ときは適応除外になります。
要件は国税庁のホームページで確認できます。
参考 国税庁「マイホームを売ったときの特例」
家を売るときにかかる税金の税率
控除を受けても譲渡所得が出るような場合は、以下の税率で課税されます。
長期譲渡所得 (所有期間:5年以上) |
所得税 | 課税譲渡所得 × 税率15% |
---|---|---|
住民税 | 課税譲渡所得 × 税率5% | |
短期譲渡所得 (所有期間:5年未満) |
所得税 | 課税譲渡所得 × 税率30% |
住民税 | 課税譲渡所得 × 税率9% |
家を売った年の1月1日時点で10年以上住んでいた場合は、軽減税率が適用されます。
3000万円超 6000万円まで |
所得税 | 軽減税率10% |
---|---|---|
住民税 | 軽減税率4% |
譲渡損失は申告すると所得控除が受けられ節税になる?
譲渡損失が出る場合は、売却した年を含めて4年間給与所得の所得税などを控除してもらえる特例制度があります。この特例は、マイホームを買い換える場合と、買い換えない場合で内容が違います。
買い替えの場合
例えば、譲渡損失が2000万円で毎年の給与所得が400万円の場合。
- マイホームを売った年
- 400万円 - 2000万円 = -1600万円(繰越額1600万円)
- 2年目
- 400万円 - 1600万円 = -1200万円(繰越額1200万円)
- 3年目
- 400万円 - 1200万円 = -800万円(繰越額800万円)
- 4年目
- 400万円 - 800万円 = -400万円(繰越終了=繰越せない)
適用を受けるには要件をクリアする必要があります。要件は以下のサイトが参考になります。
参考 国税庁「マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき」
買い換えない場合
マイホームを買い換えず単に売るだけの場合、つぎのうち低い方の金額が特例の対象になります。
- 1. 譲渡損失額 = 売却価格 -{(取得費用) + (譲渡費用)}
- 2. 住宅ローンの残存額 = 住宅ローンの残債額 - 売却価格
住宅ローンを使う使わないに関わらず、通常は2の方が低い金額になります。まれに「住み替えローン」を使った人などは1の方が低い金額になります。
住宅ローンが残るのにあえて家を売る人は少ないでしょう。そもそも、そんな状態で売ろうとしたら住宅ローンを貸してくれている銀行が完済を求めてきます。
参考 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
家を売るときはお金の話に強い不動産屋を選ぼう
家を売るときは、諸費用や税金などお金の話がたくさん出てきます。「不動産売却にかかわるお金に関する知識」が豊富な不動産屋にサポートしてもらうことがでれば、家の売却活動がかなりスムーズに進みます。
住宅ローンや譲渡所得税のことで悩んでいるのであれば、まず不動産屋の営業マンにお金に関する知識があるか確認しましょう。
不動産屋営業マンの力量を計る一番カンタンな方法は、複数社に相談を持ちかけ比較することです。おすすめは3社!
3社以上の不動産屋に悩みや疑問点を話して対応を観察すると「この不動産屋は信頼できる」とか「この不動産屋は頼りない」というのが見えてきます。
残念ながら不動産屋の中にはブラックな会社もあるので、最初から1社しか相談に行かないのはおすすめできません。