不動産売却は「思うように買い手がつかないと困るなぁ」と不安になる方が多いです。実際、売れやすい土地と売れにくい土地があるんですが、何で差が出るのかご存知ですか?
今回は、売れやすい土地と売れにくい土地の条件について解説します。売れにくい土地を売るときにやるべき3つのことも説明するので、参考にしてください。
読んでいただくと、自分の土地が売れやすいのか売れにくいのか判断できるようになります。なかなか買い手が現れないとき、何をすればいいかもわかりますよ。
なお「売れやすい家と売れにくい家」については、以下の記事で詳しく解説してます。家のことが知りたい方は、こちらの方が役に立つと思います。
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売れやすい家、売れにくい家の条件とは?売れない家がやるべきこと
ナツダどうも、元住宅営業のナツダです。 不動産売却で思うように買い手がつかないと「売れやすい家と売れにくい家の差」が気に ...
売れやすい土地の条件
さっそく、売れやすい土地の条件から解説します。
すぐに売れる土地は、以下の2つの条件が良いです。
- 立地がよい
- 状態がよい
それぞれ詳しく説明しますね。
立地がよい
さて「立地がよい」とは、どういうことでしょうか?
たとえば、次の3つに当てはまる土地はとても人気があります。
- 鉄道駅から近い
- 周辺環境が良い
- 値上がりし始めた地域
順番に説明します。
鉄道駅から近い
中古物件や更地は、新築物件以上にアクセスが重視されます。とくに通勤通学で公共交通機関を使う人には、駅から徒歩10分未満が人気です。
駅近物件が出にくい都心エリアでは、徒歩15分圏内も許容範囲です。「これなら、歩いて駅まで行ける」とギリギリ思ってもらえます。
ポイント
この「駅からの距離」は、マンションにおいて特に重要。なぜなら、一戸建てより「駅近」を重視して探してる人が多いからです。
マンションは一戸建てに比べて駅近物件が多く、鉄道駅の利用頻度が高いシニアや通勤者に好まれます。それに応えられない物件は、売れにくくなります。
最寄りの鉄道駅から都心部へのアクセスがいいと、さらに魅力が増します。
例えば「都心部へのアクセス」条件が以下のような鉄道駅周辺は、売却に有利です。
- 本数が多い
- 終電が遅い
- 乗り換えが少ない
- 快速や特急が停車する
周辺環境が良い
周辺環境の良い住宅街とは、いわゆる「閑静な住宅街」のことです。例えば「治安が良い」や「静かで落ち着きがある」といったイメージがついている地域ですね。
自然が感じられる、以下の地域も人気です。
- 緑が豊か
- 空気がきれい
- 車の走行音など、人工的な音が少ない
周辺環境を判断するには、用途地域を見ることである程度想像できます。用途地域は、役所の建築課や公式ホームページで確認できます。
12種類の用途地域
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
上述の用途地域は、上に書いたものほど良好な住環境が期待できます。
ただし、質が高い住環境を重視する「第一種低層住居専用地域」ではスーパーやコンビニも建てられません。なので、利便性に難があり嫌がる人もいます。
生活の利便性を重視する方にとっては、以下のような施設が近くにある物件の方が魅力的です。
- 公園
- 図書館
- 総合病院
- 学校・幼稚園・保育園
- 繁華街
- 飲食店
- コンビニ
- ドラッグストア
- 大型ショッピングセンター
徒歩15分(約1km)圏内、あるいは車で10分圏内にこれらの施設があるならリスト表にしておきましょう。そうすれば、購入希望者が内見(内覧)にきたときの説明材料として役立ちます。
「閑静」を推すのか「利便性」を推すのか。あなたの土地の魅力を的確に発信して、それを「好し」と考える買主を見つけることが大切です。
子育て世代にとっては「学区」も重要です。文化水準や有名校への進学率が高い学区の物件は、簡単に購入できないくらい人気です。
逆に素行不良の学生が多い学区は、できれば避けたいと思うもの。このような学区の状況は、若いご夫婦のほとんどが気にするポイントです。
ポイント
上述のとおり「周辺環境」は、人によって重視する項目が変わります。
もういちど、まとめておきましょう。
都会派 | 生活の利便性 |
---|---|
郊外派 | 閑静な環境 |
田舎派 | 豊かな自然 |
通勤重視派 | 公共交通機関の利便性 |
教育重視派 | 学区 |
売りたい家がある地域がなにを強みとするのか、見極めるようにしましょう。
値上がりし始めた地域
開発や再開発にともなって住宅地の需要が高まると、地価も上昇し始めます。こういう地域の土地は、将来性の高さから売れやすいです。
そこに上述のような立地条件がプラスアルファされることで、さらに売れやすい物件へとレベルアップします。
状態が良い
周辺環境がよくても、その土地そのものの状態が悪いとなかなか買い手がつきません。
では「状態が良い土地」とは、どんな土地でしょう。4つ、ご紹介します。
- きれいな整形地
- 前面道路に対する方位が良い
- ちょうどいい面積
- 前面道路が広い
順番に、もう少し詳しく解説します。
きれいな整形地
土地の形は、とても重要。きれいな四角(正方形、長方形)の土地が人気で、一般的に「整形地」と呼ばれます。
整形地は土地を有効活用しやすく、無駄のない間取りで設計することができます。
境界線の位置がわかりやすいのも、売れやすい理由のひとつです。
前面道路に対する方位
一般的に、南向きの土地は売れやすいです。これは「南向き=日当たりが良い」という印象が強いためです
さらに角地であれば二方向が道路に面しているので、日当たりと風通しが期待できます。とくに南東の角地は、他の方位に比べて価格が上がります。
方位と土地価格の関係を図解にすると、以下のようになります。
実際のところ、南側道路の土地が必ずしも過ごしやすいわけではありません。
いくら日当たりがよくても、南向きのリビングと前面道路が近いと通行人の視線が気になります。窓や断熱材の性能が低いと、南西角地は西日の影響で暑くなってしまいます。
じょうずにアピールすれば、南向きでなくても値崩れせずに売れるケースもあります。
ちょうどいい面積
土地は「広ければ広い方がいい」というわけではありません。大きすぎる土地は、余計な取得費や維持費がかかります。
では、どれくらいの面積なら丁度いいのか。
使いやすい家の面積は、およそ「その家で暮らす人数 × 8坪~10坪」です。ここでネックになるのが「建ぺい率・容積率」です。
- 建ぺい率とは?
- 敷地面積に対する建築面積(ほぼ建物1階部分の面積に相当)の割合のこと。
- 容積率とは?
- 敷地面積に対する建物の延べ床面積(ほぼ建物全階の床面積の合計に相当)の割合のこと。
建ぺい率と容積率は、各土地で上限が決まってます。つまり、建てられる床面積の上限も、土地で決まるということです。
例えば「容積率150%」のエリアにある「30坪の土地」なら、建築可能な延べ床面積は「最大45坪」です。
ファミリーが多いエリアの土地なら、40坪前後の家が建つ土地が「ちょうどいい」と言えます。
前面道路が広い
前面道路の広さも、売れ行きに影響します。道幅4m以上の道路に接しているかどうかが、ひとつの目安です。
前面道路が4m未満だとセットバックが必要にるので、敬遠されがちです。道幅が6m以上あると、車どうしのすれ違いがしやすいです。
- セットバックとは?
- 道幅が4m以上ない場合に、道路中心から2m控えて建築物を建てる決まりのこと。つまり、自分の土地である敷地の一部を道路として提供することになる。
売れにくい土地とは、どんな土地?
つづいて、売れにくい土地の特徴と売却方法について解説します。
売れにくい土地
基本的には「売れやすい土地」の反対の条件が「売れにくい土地」になります。
改善のしようがない条件に当てはまる場合は、相場より値下げして売却もやむを得ないでしょう。
売れにくい土地の条件
- 変形地
- 北向きの土地(前面道路が北側)
- 狭小地や大きすぎる土地
- 隣家との境界があいまいな土地
- 傾斜地や高低差がある土地
- 管理が悪い土地
- 人の出入りが少ない地域
- 再建築不可の土地
上述の条件について、順番に解説していきます。
変形地
整形地(真四角)ではない形状の土地を「変形地」と呼びます。
たとえば以下の形の土地は、整形地に比べて値下げしないと売れにくくなります。
変形地の例
- 台形の土地
- ひし形の土地
- 三角形の土地
- 多角形の土地
- 旗竿形状地
変形地は有効活用しにくいので、同じ面積の家を建てるのに整形地に比べ大きめの土地が必要です。なので、整形地に比べて坪単価が下がりやすいです。
また境界線がわかりづらい変形地は隣家ともめる原因になるので、あまり好まれません。
トラブルを避けるために厳密に境界を確認する場合は「筆界確認」という作業が必要です。つまり変形地の売買は、余分な諸費用が発生しやすいのです。
北向きの土地(前面道路が北側)
北向きの土地は「日当たりが悪い印象」があるため、好まれません。
しかし、北向きならではのメリットもあります。たとえば夏は涼しく、西向きより過ごしやすいです。
採光量の変化が少ないことから、アトリエにも向いてます。
狭小地や大きすぎる土地
土地代が高い都市部では、狭小地でも売れます。ですが、生活しやすい間取りが取れないので「売りやすい」とは言えません。
対して大きすぎる土地は、余分な取得費がかかります。購入後も余分な固定資産税がかかるので、経済的ではありません。
大きすぎる土地も、狭小地と同じく「売りやすい」とは言えません。
隣家との境界があいまいな土地
公に境界線が確定してない土地は、とても売りづらいです。以下の条件に当てはまると、まず買い手が付きません。
- 地形や寸法がわかる図面が登記されてない
- 土地や道路に境界位置を示す表示がない
- 隣家と境界について取り決めされた形跡がない
上述の土地は、境界をはっきりさせてから売り出す方がいいでしょう。
傾斜地や高低差がある土地
傾斜地や高低差がある土地は、平らにするための造成や土留めの擁壁が必要になります。整地に余分な費用がかかるので、好まれません。
ただし、メリットもあります。たとえば前面道路より高い土地は覗かれにくく、見晴らしもよくなります。
メリットをしっかりアピールして、ネガティブな印象と相殺させましょう。
管理が悪い土地
とくに空き家を売りたいときに気を付けて欲しいのが、管理状況。草が伸び放題だったりゴミが散乱してると、内覧の印象が悪くなります。
また簡単に改善できることができてないと、買主に「他にも悪い所があるのでは?」という不安を与えかねません。
普段から手入れはしっかりとしておきましょう。
人の出入りが少ない地域
住人の流動性が低い地域は、徐々に売りにくくなります。
まず、空き家が増え始めます。人口が減ることで商業施設が撤退しはじめ、次第にインフラも整備されなくなります。
さらに状況が深刻になると、以下のことも起こり始めます。
- 学校が廃校する
- 上下水道の納付金が高くなる
- 道路の破損個所がいつまでも直らない
- 「割れ窓効果」で犯罪率が上がる
- 出動要請しても、警察や救急車がなかなかこない
ここまでくると負の連鎖。どんどん街の魅力がなくなり、さらに空き家が増えます。
ちなみに「空き家率が30%を超えると、街が機能しなくなる」と言われてます。そうなる前に、売りましょう。
再建築不可の土地
土地の中には「今建っている古家を解体してしまうと、二度と家が建てられない」ものもあります。
たとえば、主に以下の2つの土地が該当します。
- 市街化調整区域
- 現行の建築基準法に不適格
市街化調整区域は「新たに建築物を建てたり増築することを極力抑えなさい」という指定を受けた地域です。農林水産業の田園地帯などが該当します。
また現行の建築基準法で建築不適格の土地も、家を建てることができません。たとえば「土地と前面道路の接道長さが2m未満しかない土地」などが該当します。
こういう土地はまず売れないか、二束三文になります。
売れにくい土地の売却方法
さて、売れにくい土地はどうやって売ればいいのでしょうか?
売れにくい土地がやることは、以下の3つです。
- 売れない理由をリストアップする
- 売れる値段に設定する
- 買ってくれる人をみつけてくる
まず、売れない理由をリストアップして改善できるものは改善しましょう。それから、たいていの土地は市況や状態にあった価格を付ければ売れます。売れる値段に設定しましょう。
インターネットを活用して、広く全国から買主候補を探すことも大切です。SUUMOやHOME'Sなど、大手不動産ポータルサイトには必ず売出情報を載せましょう。
売れない家の売り方について、こちらでも詳しく解説してます。もっと知りたい方は、参考にどうぞ。
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これらを行うには、不動産屋の協力が欠かせません。
不動産屋の販売活動が不真面目だなと感じたら、媒介契約を更新せず不動産屋を替えましょう。
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- 少しでも早く高く売るためのアドバイスをくれない
- 複数の不動産ポータルサイトに売出情報を載せてくれない
- 根拠なく相場より安い価格に値下げするよう説得してくる
とくに、根拠の乏しい「値下げしませんか?」は要注意。
不動産業界には「囲い込み」という悪しき商慣習もあります。うまく利用されないように、以下の記事を参考にしてください。
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まとめ
一般的に「売れやすい」と言われる条件があなたの土地にも当てはまるなら、積極的にアピールすべきです。
同時にアピールポイントがどんな買主に伝わりやすいか考え、対象に合わせて伝え方を工夫しましょう。
土地の売却では、不動産屋の協力も欠かせません。
とくに田舎は不動産屋が少なく人口も減少傾向なので、近隣だけで買い手を見つけるのが困難です。力量ある不動産屋をみつけて、全国に売出情報を流してもらう必要があります。
現実問題、ゼロ円でも売れない土地はあります。ですが、たいていの土地は売り方しだいで売ることができます。
ぜひ諦めずに、いろんな方法を試してみてください。