どうも、ナツダです。
2016年10月9日、NHKスペシャルで「あなたの家が危ない ~熊本地震からの警告~」という番組をやっていました。
4月の熊本地震では、最新の耐震基準導入以降に建った住宅でも倒壊したという・・・。
中古住宅の査定では耐震基準への適合度を見られると思いますので、とても気になる番組内容でした。
新耐震基準とは?
そもそも、新耐震基準ってなんでしょう?
これから新築される方には馴染みのある言葉かもしれませんが、ずっと昔に家を建てちゃった人にとっては「何となく最近よく聞くけど、中身はどうなってるの?」という感じだと思います。
私もイマイチ曖昧だったので、番組を見終わったあと調べました。
- 住宅の耐震基準とは?
- 住宅が最低限持つべき耐震能力の基準。建築基準法で定められていて、この基準を満たさない設計の家には建築許可がおりない。
日本では大きな地震がきっかけになって、何度か耐震基準の見直しがおこなわれてきました。
とくに大きな変更は、1981年6月と2000年6月にあったそうです。
- 新耐震基準の変遷
- ・1950年(昭和25年)11月23日 - 建築基準法施行(旧耐震)
- ・1978年(昭和53年)6月12日 - 宮城県沖地震発生
- ・1981年(昭和56年)6月1日 - 建築基準法施行令改正(新耐震)
- ・1995年(平成7年)1月17日 - 阪神・淡路大震災発生
- ・2000年(平成12年)6月1日 - 建築基準法及び同施行令改正
1981年の改正では主に壁量の強化が図られ、2000年の改正では壁の配置のバランス計算が義務化されたそうです。
そして、2016年(平成28年)4月14日に熊本地震が起きます。
番組では、被害がおおきかった益城町で「最新の耐震基準で造られた木造住宅は319棟。そのうち倒壊大破したのは19棟だった事が分かった」と放送されていました。
なぜ、最新の耐震基準でも家は倒壊してしまったのか?
日本建築学会が熊本県益城町の安永、宮園、木山、辻の城に建つ木造の建築物のうち、倉庫や神社などを除いて集計した建築時期別被害状況は以下のようになっています。
耐震基準 | 倒壊・崩壊 | 大破 | 軽微・小破・中破 | 無被害 |
---|---|---|---|---|
旧耐震基準 (702棟) |
225棟 (32.1%) |
124棟 (17.7%) |
322棟 (45.9%) |
31棟 (4.4%) |
新耐震基準 (800棟) |
73棟 (9.1%) |
78棟 (9.8%) |
482棟 (60.3%) |
167棟 (20.9%) |
2000年耐震基準 (242棟) |
7棟 (2.9%) |
10棟 (4.1%) |
91棟 (37.6%) |
134棟 (55.4%) |
不明 (196棟) |
0棟 (0%) |
15棟 (7.7%) |
102棟 (52.0%) |
79棟 (40.3%) |
耐震基準は人命を守るために「倒壊しないこと」を基準に定められているそうです。基準を満たせば「無被害」になるということではありません。
上の調査結果では、厳しい耐震基準に対応した住宅ほど被害が軽減されているのがわかります。でも、倒壊がゼロにはなっていません。
なぜ、ゼロにならなかったのか?
番組では、最新耐震基準で倒壊した原因のひとつが直下率にあると解説していました。
- 直下率とは?
- 1階と2階の平面図を重ね合わせたとき、2階の柱や壁の下にそれを支える柱や壁が存在している割合。50%を下回ると不具合が出やすくなると言われている。
家の構造材を作る工場によると、直下率が低い住宅はレアケースではなく頻繁に見かけるとのこと。
流行りの広いLDK空間やオーバーハング(2階が1階よりせり出した構造)が直下率を下げているそうで、番組では「3割ぐらいの住宅で直下率が望ましい数字を下回っている」と解説されていました。
最新の耐震基準だから安心とは言えない
熊本地震では、大きな「耐震基準の想定外」がありました。それは、前震と本震、震度7を超える地震が連続で来たことです。
なんとか前震を持ちこたえた住宅が、満身創痍のまま迎えた本震で倒壊してしまった・・・という事例が多かったそうです。
もはや、大震災がきたらどうなるかなんて誰にもわかりません。最新耐震基準だけでは倒壊を免れないかもしれません。
- ポイント
- 家族の命を守るためには、耐震基準をクリアしただけでは足りない。建築基準法は最低限クリアすべき基準であり、より安全側へ働く設計配慮が必要。
既築の住宅が改修工事をするときは、開放的なLDKや大開口の窓がどれぐらい倒壊リスクを上げているのか気にしたいところです。
今は「開放的なLDKや大開口の窓」がある家ほど人気ですが、いずれそういう物件ほど敬遠されるようになるのかもしれませんね。